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2024.03.16

Webtoonのネーム作家・小滝ろみさんにインタビュー!「ノートを取るのが好きな人はネーム作家に向いていると思っています」

eye catch

SORAJIMA Studioで制作しているWebtoon作品には、数多くのクリエイターが参加してくださっています。

今回ご紹介するのは、小滝ろみさん。現在「comico」で配信中の『高貴な聖女が現れたので、孤児あがりの聖女はいらなくなりました?』でネーム作家として参加してくださっているクリエイターです。

SORAJIMA Studioが制作するWebtoon作品のネーム作家として活躍されている小滝ろみさんから、「ネーム作家になったきっかけ」や「ネーム作家に向いている人」についてお話を伺いました。

10年来の友人からの紹介がきっかけでした

では、担当作品を交えた自己紹介をお願いします。

はい。ソラジマさんでネーム作家として活動させていただいている、小滝ろみと申します。comicoで配信されている『高貴な聖女が現れたので、孤児あがりの聖女はいらなくなりました?』のWebtoonコミカライズのネームを担当させていただきました。

現在は、公開が予定されている『2度目の処刑はお断りです』という作品と、公開を控えている数作品のネームを担当しています。

ありがとうございます。ソラジマのネーム作家になったのはいつごろでしょうか?

そうですね…去年の7月頃だと思います。というのも、実は結構曖昧なんです。最初にお仕事させていただいたのがソラジマさんのWebtoon部門立ち上げ期だったこともあって…制度が整った上でお仕事を始めたのは去年の7月でした。

立ち上げ時期からお世話になっていたということですよね。改めて、ありがとうございます。以前からネーム作家として活動されていたのですか?

いえ全然。ネーム作家という仕事があることも知りませんでした。ネーム作家という仕事を知ったのは『婚約を破棄された悪役令嬢は荒野に生きる。』で構成を担当されている中野るり先生に教えてもらったのがきっかけです。

中野先生とは10年近く友人としての付き合いがありまして…以前通話をしているときに中野先生から「私、最近ネーム作家やってるんだ」という話を聞いて、「なにその夢のような仕事は…!」と衝撃を受けたのがきっかけで、ソラジマさんのトライアルを紹介していただきました。

ルーツは「Web漫画」の時代から

Webtoon(縦読み漫画)は以前からご存じでしたか?

はい。そのようなスタイルの漫画が存在するのは知ってました。けどちゃんと読むようになったのは仕事をするようになってからですね。

そうだったんですね! それにしてはネーム作家としての経験値が豊富だと感じるのですが、ネーム作家として活動される以前からクリエイターとして活動されてたのですか?

そうですね、以前から同人誌を作って創作活動をしていました。漫画が描きたかったので、漫画形式の同人誌を。

同人誌はいつごろから書き始めたのですか?

ちゃんとストーリーがあるものとして作り始めたのは、10年前くらいだったと思います。

10年前!

はい。Webtoonという形式があまり広まっていない時代に、Web漫画を書いていました。今思い返すと、あれも縦読み漫画でしたね。

しかし当時はスマホよりガラケーが多い時代だったので、今の時代みたいに仕事に繋がりやすい活動ではありませんでした。それでも当時はWeb漫画を描くのがとにかく面白くって…。「もう趣味でもいいからずっと漫画を描いていたい!」って思うようになったんです。

ずっと描いていく上で形式にこだわりすぎてはいけないと感じていたので、紙の漫画も描き始めるようになって、ときには出版社に持ち込みをしていました。そうして活動しているうちに、10年経っていましたね。

選考時の経験は今も生きている

ソラジマの選考ではどのようなテストが行われたのですか?

Web小説の原稿を読み、タイトルコール部分までのネームを描いてください、という内容でした。言葉にするとあっさりしているんですが、実は読んで欲しいと言われた部分は思った以上に分量がありまして…。

オフィスラブをテーマにした作品だったのですが、指定された部分の最後には作品の面白さそのものが出てきてしまっていたのもあって、どうやってネームにすべきか悩んだのを今でも覚えています。その分提出したネームを褒めていただいたときは、すごく嬉しかったです。

最初の頃のテストのボリューム調整はこちらも不十分なところがあり…ご迷惑をおかけしました。

いえ、全然迷惑ではありませんでしたよ。むしろ仕事を始めてからも「これどうやって縮めたらいいんだろう…」と悩むときには、テストでの経験が生きているなと思っています。

この間作ってくださったネームのノウハウ記事にも繋がってきたりするんでしょうか?

そうですね。ネームのノウハウについて話すと長くなってしまうので、それはまたの機会に。

小滝さん執筆のノウハウ記事はこちら

お仕事のやり方は「かなり大丈夫です」

小滝さんの1日のお仕事スタイルを教えてください。

結構酷い生活です (笑)。11時くらいに起床して、お昼ご飯を食べて、14~17時まで作業をして、そこからお風呂に入ったり休憩したりして、21時から夜中の3時まで作業をして、寝る。という感じです。

ただ、すごいちゃんと寝てるんですよ。

3時から11時まで寝ているので、8時間くらい。作業時間も普通の労働時間くらいで、その上で家事の時間がしっかり取れているので、すごい健康的な生活をしていると思います。

安心しました (笑)。

ときおり「大丈夫ですか?」と言っていただくこともありますが、かなり大丈夫です (笑)。

では、具体的なお仕事のやり方について教えてください。小滝さんのペースだと、発注から納品まではどれくらいの時間がかかりますか?

2~3日に1本くらいのペースです。ただこれはスムーズなときの話であって、フィードバックの量によってペースが変わります。現在はおよそ1週間に3~4本のペースで納品って感じです。

2~3日は早いですね…! 小滝さんが執筆されたネームのノウハウ記事には、最初は時間がかかっていたもののが今では2~3日に短縮できていると書かれていたので、工夫されたのだなと感じました。

ありがとうございます。皆さんにいろいろ教えていただいたおかげ、というのもありました。

仕事をしていく中で、編集者のフィードバックから知識を身につけたり、ノウハウを吸収したりすることもあったのですね!

そうですね。ログライン(ストーリーの内容を1行にまとめること)なんかは最初の担当者さんに教えてもらいました。孤児聖女の制作に関わる前に担当した、私にとってのWebtoon最初の作品では構成シートも私自身で作っていたのですが、構成の1話ごとにログラインを作ってくれって言われたんですよね。物語全体じゃなくて、1話ごとの。

「そんな無茶な…」って思ったんですけど、めちゃくちゃ頑張ってなんとか考えました。すごく大変だったんですけど、そのときの経験は今の仕事にも生きています。プロットを受け取るとまずは自分なりにログラインを見つけ出し、それに沿って書く、という感じで。

1話ごとのログラインを決めるメリットはなんだったのですか?

伝えたい要素を伝えられること、だと思います。

作品作りにおいては、「この話結局なにが言いたかったんだろう」ってなっちゃうのが一番もったいないんです。なので本筋に関係ない要素を一旦どけておき、伝えたい部分を強調するための軸を持っておく必要があります。それが1話ごとのログラインなんです。

伝えたいことがはっきりしていれば、一旦どけておいた要素はあとでまた出せるので。

ありがとうございます。ネーム作りのために日頃から行っている勉強があれば、教えてください。

Webtoon作品を読むことですね。あとはWebtoonにかかわらず、なにか作品を読んだり見たりしたときに、面白いと思ったらその理由を考えるようにしています。面白くないと思ったときでも、これなんで面白いって言われているんだろうって。

他の方の評価が良くても、自分の中ではしっくりこなかったときの理由を考えるのですね。

そうですね、自分の中でしっくりこないこともあります。そういうものは放っておかず、1行感想にしてスマホのメモ帳にメモしてるんです。

ちなみに私は、webtoonの見せ方を学ぶには映像が良いと思っていて、構図はアニメや映画が参考になると思っています。

ありがとうございます。お仕事だけでなく勉強もお忙しそうですが、丸々オフにできる日はあるのですか?

基本土日は無理矢理休むようにしています。最近は3つの作品を担当しているということもあって土日両方というわけにはいかないんですが、週に丸1日はなにもしないです。

そうなんですね! そのときのリフレッシュ方法はなんですか?

映画見たり漫画を読んだり。平日もやってることではあるんですが、リフレッシュになりますね。あとは友達としゃべったり、ゲームをしたりしています。自分が地方に住んでるので直接会ってしゃべることはあんまりしないんですけど、今はネットがあるので、オンラインで友達とゲームをやってますね。

SNSを眺めていると、お仕事中も通話されてる方をよく見かけます!

そうですね。最初のうちはしゃべりながらネーム作業はできなかったんですけど、最近はできるようになりました。それでも1対1で腰を据えてしゃべりながらの作業はできないので、グループ通話に参加させてもらう感じです。

完成原稿を見たときに、思いがこみ上げる

「ネーム作家をしていて良かった!」と思う瞬間はどんなときですか?

やっぱり、完成原稿を見たときだと思います。

あ〜! 配信されたときですね!

そうですね。絵が入って、ちゃんと完成していると実感したときは一番「書いて良かったな」と思います。

では、それまでの作業中はどんな工程が楽しいと感じますか?

う〜〜ん。そうですね。カメラワークかなって思います。

例えば「キャラクターをどの角度からみせるか」や「どういう演出でストーリーを絵にするか」というのを考えるときですか?

そうですね。プロットを読んだときに「このセリフは絶対この構図で描きたい!」とか、浮かんでたりしたものを、ネームに書けたときはやっぱり気持ちが良いです。

逆に大変だったことはなんですか? 編集部のフォローアップ体制や、フィードバックについても正直な感想をいただけると嬉しいです。

そうですね、編集部に対して不満に思っていることはないです。

強いていうならば、自分が仕事に慣れていなかった頃に「ここを直してください」と言われて直したら「やっぱり戻してください」「ここも直してください」という原稿の往復が何度かあったので、それなら最初にまとめて言って欲しかったな…と思ったことはあります。

でもやっぱり、シオン様かなぁ

少し話が変わりますが、担当していただいた『高貴な聖女が現れたので、孤児あがりの聖女はいらなくなりました?』の中で好きなキャラクターはいますか?

ああ〜〜〜〜…なんかみんな好きなんですよね。あの作品の登場人物、全員好きなんです。う〜ん…でもやっぱり、シオン様かなぁ。

私は最初に設定をいただいた時点で原作を読んでいたので、シオン様の本性を知っていて、それで面白い人だなと思っていました。「シオン様面白すぎる!」というところから作品が好きになったので。

でもだんだんみんな好きになっちゃって…。

ふふ (笑)。魅力的なキャラクターがたくさん登場するキャラクターですよね!

本当にそうなんですよ! みんなかわいいなって思っています。

「ノートを取るのが好きな人」はネーム作家に向いてます。

ソラジマでやりたい仕事、叶えたい目標はありますか?

個人レベルの目標にはなりますが、週に5本は納品できるようになりたいです。土日しっかり休んだ上で、週に5本の納品を。

でもソラジマさんのおかげでネーム作家という楽しい仕事をさせていただいているので、ソラジマさんで大きなヒット作が出るときには、作品に関わっていたいなという気持ちは常にあります。

いちファンとして、楽しみにしています! 小滝さん自身の目標からは話が変わるのですが、ネーム作家になりたいと思っている人に向けて「ネーム作家をオススメできる人」の条件があればお聞かせください。

「ノートを取ることが好きな人」は向いてると思います。授業のノートを取ったりするのとか。テスト勉強のときに、教科書の内容を自分なりにノートにまとめることが苦じゃない人には向いてると思います。

見栄え良くノートが取れる必要はなく、ノートを取るという作業そのものが苦にならない人です。逆に見たり聞いたりしたものを忠実に再現しないと気が済まない人は辛く感じてしまうのではないかな、と思います。

ありがとうございます。ネーム作家に向いている人の表現の仕方がすごい秀逸だなって思いました!

ありがとうございます。実は自信のある表現です!

では、最後の質問です。小滝さんにとって、SORAJIMA Studioとソラジマ編集部とはどんな存在ですか。

楽しい仕事に出会わせてくれた、恩人…みたいな。ちょっと重いですかね。

みんな喜ぶと思います!

あとはソラジマさんと出会うきっかけになってくれた中野先生にも感謝しています。中野先生がいなかったら今の自分はいないので…。中野先生についてお話をしてしまうと長くなってしまうので、またどこかの機会で (笑)。

ぜひどこかの機会で (笑)。本日はありがとうございました!

インタビュアー:さえき
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執筆者:星月まふゆ
[自己紹介文]
マンガレビューを中心に活動するライター。記事をだけでなく、可愛い女の子を描くこともできるらしい。
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