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クリエイター

2024.03.16

ネーム作家が教える基本の”ん”〜はじめに躓きやすい「コマ間」について〜

eye catch

3度目の寄稿をさせていただきます、小滝ろみです。

今回この記事を書くことになったのは、以前インタビューをお受けした際、
「コマ間についての記事を書けませんか?」とご依頼いただいたのがきっかけです。その時私は「コマ間だけで一つ記事を書くんですか!?」と、ちょっと動揺しました。

コマ間とは何かというと、この部分のことです!

でもたしかに、コマ間はすごく大事なんです。

「やたらコマ間を重視するのはなんで?」
「なんで広くしなきゃいけないの?」
「なんで狭いのはダメなの?」

…などの疑問にお応えするためには、たしかに記事が一つ分は必要だと思い、拙文ながら寄稿させていただくことにしました。

ちなみに、上記の3つの疑問は、私がwebtoonネームに初めて関わった際に強く感じていたものです。
「何がわからないのかわからない」という状態だったので質問もできず、ただただ言われるがままに修正していました。
もしも当時の私と同じようなドツボにはまっている方がいたら、今回の記事は参考になるかもしれません。

webtoonのコマ間って?

webtoonをいざ作ってみよう!と思うと最初に躓くのは、なんといっても「コマ間の広さ」です。

読んでいると無意識に読み流してしまう部分ですが、いざやってみると想像以上に広いですし、webtoonネームを書き始めて最初のうちは「もっとコマ間を広く!」という修正が何度も入りますよね。

それでキャンバスがどんどん下にずれ込んで、最大ピクセル数をオーバーしてしまって、コマの位置をずらすだけで、作業時間の大半が費やされてしまう…なんてこともよくある話ではないでしょうか。

webtoonにページ数制限はありません(※場合によります)が、長くてもただ冗長になってしまうので、要点を見つけ、情報量を絞る作業が必要になります(これについては以前書いた記事をご参考ください)。

また、1コマあたりに入れられる情報量は、紙の漫画に比べて圧倒的に少ないです。これは画面の広さの違いによります。

これらの情報量の制限が大いにある中で、さらにコマ間も広く取るとなると、

「じゃあ具体的にどれくらい広くすればいいんだろう?」
「コマ間が狭くてもよければもっと色々なことが描けるのに、なんでコマ間を広くとらなきゃいけないんだろう?」

と混乱される方もいると思います。

ということで、さっそくその2点について書かせていただきます。

その1:具体的にどれくらい広くすればいいんだろう?

手元にある原稿で確認したところ、小滝の作成しているネームのコマ間はだいたい300〜500px程度(解像度350dpi、690×20000px)でした。

ただし、セリフの量やコマの大きさに応じて、これより狭くなったり広くなったりもしています。

ちなみに、ソラジマさんで制作するwebtoonネームでは、ふきだしも1コマとして数えられています。

コマ間の確認方法ですが、今回はctrl+rでルーラーを表示して確認しました。

実際に手元で再現してみると、予想以上に広く感じると思います。

ただし、webtoonの描き方にはトレンドがあり、「このコマ間が正解です!」とはまだ言えません。

あっという間にトレンドが移り変わっているので、現在小滝が書いているネームのコマ間が、来年には古くなっていてもおかしくありません。

今後もwebtoonの見せ方はどんどん進化・多様化していくはずですが、
もしも「ゆっくりスクロールする方が集中できる」「コマ間を詰めた方が読みやすい」というような流れが出てきたら、トレンドは今と真逆の方向に移り変わるでしょう。

これは極端だとしても、webtoonがまだ進化の途中にあることを考えると、トレンドが思いがけない方向に変わる可能性はあると思います。

なのでコマ間の広さについては、
2022年現在では広めが主流。ただし、トレンドの影響を受けやすい要素なので、最新作品をチェックしておく」が大事だと思います。

また、トレンドとは関係なく、自分が読みやすいと思う作品のコマ間も覚えておくと、それは作家としての持ち味になってくるのではないかなと思います。

その2:なんでコマ間を広くとらなきゃいけないんだろう?

言われるがままに直しているだけだと頭に入らなくて覚えられない!ということはありませんか?私はすごくあります。

なので、「コマ間をもっと広く」と何度も修正されながら、なんで広くしなければいけないのか?と自分なりに考えた意見についてもご紹介しておきたいと思います。

読んでいる人の視線を意識しよう

一つめの理由として、読んでいる人の視線の位置をなるべく動かさないためというのが考えられます。

どういうことかといいますと、以前の記事で「webtoonの見せ方は映像に近い」と書いたことがあります。映画やアニメなどを見る時のことを想像してみてください。

視線は常にスクリーンの真ん中を見ていて、そこに映像が流れてくるという形で鑑賞しますよね。
スクロールして目の前に流れてくるものを見るwebtoonも、この感覚に近いと思っているからです。

なので、「スマホ画面の真ん中あたりを見ていると情報が流れてくる」という配置にするとぐっと読みやすくなります。
これが、コマ間を広くとると読みやすくなる理由につながっているのではないかと思っています。

画面ぎっしりに情報が詰め込まれていると、画面を上から下まで目で追って読むことになり、これは映像ではなく読書的な読み方です。現状のスマホ画面では読みにくい印象を与えてしまう可能性があります。

こちらは以前書いた記事で使った画像に加筆したものです。

媒体が違うと印象が違うのは、書いてあるものを目で追う読書と、目の前に流れてくるものを見るスクロールでは、見方が根本的に異なるからではないかと思っています。

コマのテンポを意識して間隔を決めよう

そして、コマ間がこんなに重要視されるもうひとつの理由があります。
コマ間はテンポを司っているからです。

テンポ良くさくさく読めるのがwebtoonの持ち味ですが、
テンポの良さを支えているのがコマ間の広さであり、それを作るのがネームの仕事なのです。

webtoonネーム制作において一番大事な仕事といって過言ではないかもしれません(3大要素として紹介したものには入ってないんですが、あちらはネームの内容に関しての話ということでご勘弁ください)。

どんなテンポが読者に好まれるかはこの先も移り変わる可能性がありますし、webtoon作品が多様化していけば、「作風に合わせてあえて速めに、あえて遅めに」と意図的にテンポをコントロールする作品も現れてくるかもしれません。

現状は読みやすさが追求されており、読みやすさの鍵となるのがコマ間なのです。

まとめ

ではここまでの内容を踏まえて、冒頭の疑問に答える形でまとめさせていただきます。

「やたらコマ間を重視するのはなんで?」

→webtoonの見せ方が映像に近いことと、コマ間が作品全体のテンポに繋がることが理由です。

「なんで広くしなきゃいけないの?」

→現在のトレンドが「早めのテンポでさくさく読める作品」=広めのコマ間なので、広めのコマ間を推奨されることが多いです。

「なんで狭いのはダメなの?」

→個人的には決してダメだとは思いません。ぎっしり書き込まれた画面には迫力があり、独特の魅力があると思います。
大人数が関わるスタジオ制作では難しいと思いますが、たとえば個人的に制作するものであれば、表現したい内容に合わせて、あえてコマ間で冒険してみるのも面白いと思います。
それが大ヒットすれば、自分の生み出したコマ間がトレンドの最先端になる可能性もあります。

記事をご依頼いただく際、「初めてネーム制作に関わる人はコマ間で躓きやすい」という話を伺って、自分もそうだったので、何かヒントになるものが書けたら良いなと思って寄稿させていただきました。

度重なる修正で思い悩んでいる方、コマ間が理由で諦めてしまうのはもったいないです!

ネーム制作はすごく楽しいので、一緒に楽しんでいきましょう!!

執筆者:小滝ろみ
小滝ろみです。ネームを書くのが好き!絵を描くのも少し好き!文章書くのはやや好き!です。よろしくお願いします。
https://html.co.jp/otakiromi

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