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2023.11.01

ソラジマ「webtoonクリエイター」採用|トライアル評価のポイント解説

eye catch

ソラジマでは、Webtoonの制作に興味のあるクリエイターさんを募集しています。クリエイターの中でも、「イラストレーター」のポジションではネームや線画、着彩、背景、仕上げの各工程ごとに募集を行っています。

選考ではまずポートフォリオを審査し、その後各工程ごとに「トライアル」という実技試験を受けます。

このたび、多くのクリエイターのみなさんから「トライアルの評価要素や審査基準を公開してほしい」というご意見をいただきました。そこでこの記事では、ソラジマのトライアル評価要素を公開したいと思います。

すでにトライアルを受けた経験がある方にとっては、「自分が提出した作品がどのような基準で評価されたのか」を知ることができます。また、これからトライアルを受ける方は、求められるスキルを把握できる内容となっています。

この記事に記載する評価要素は「絶対的な条件」というわけではありません。クリエイティブな活動には正解がなく、それぞれの個性が重要であるとソラジマは考えているからです。とはいえ、長期間にわたって制作されるWebtoonには、個性以外にも「クリエイターとしての一定の実力」が求められます。なので、審査基準を設けて評価を行う必要があるのです。

個性豊かなイラストを客観的に評価するのは容易ではありません。基本的には、トライアル作品を以下の基準に基づいて審査しますが、ポートフォリオやご経験も総合的に判断して考慮しています。まずはこの点について、みなさんにご理解いただけると幸いです。

トライアル実施の目的

まず、トライアル実施には以下2つの目的があります。

①分業制における能力確認
ソラジマでは分業制でWebtoonを制作しており、各工程ごとに求められる能力は異なります。提出されたポートフォリオだけでは各工程に相応するスキルを正確に評価することが難しい場合があるのです。そのため、各工程に必要なスキルを確認するためにトライアルを実施しています。

②実務に即した能力評価
ソラジマでは、迅速なスピードで作品制作に取り組んでいます。そのため、トライアルでも実際のWebtoon制作をイメージした課題を使用し、候補者が「即戦力として活躍できる実力があるか」を判断しています。

以下で各工程ごとの評価要素について細かくお伝えします。

1.ネーム

①場面の描写や漫画表現に光るセンス

活字の脚本を漫画としておもしろく構成できる能力、それを漫画として表現する能力が求められます。

脚本を読んで表現したい完成図が頭に浮かぶこと、その完成図が漫画としておもしろく表現できていることは、最も基本的なネームの審査基準です。

②引きのあるコマでメリハリを作れているか

脚本の中で最も引きのある部分をキャッチし、うまく強調できているかを確認します。

例えば、その話で強調すべきシーンを読者から人物の表情が見えない背を向けた構図にしていると、「脚本の分析をするセンスがない」と判断されます。

このように、脚本をそのままネームにするのではなく、分析し表現する能力はとても大事です。

とあるソラジマの編集者は「『一番の見せ場』を自分の心の中で決めておいて、そのシーンをクリエイターさんが見せ場として描いているかどうかを判断基準にしている」という話をしていました。

それほど脚本の分析力・見せ場をキャッチする力はネーム作家に欠かせない能力であるということです。

また、コマの構成能力が求められます。横からのアングルばかりではなく、あおりや俯瞰も適切に駆使したり、コマの大きさや配置を調整して全体的にメリハリを作ったりして、飽きないように楽しめる漫画を目指すことは、重要な審査ポイントになります。

一方で、脚本を省略しすぎると読者への情報量が少なくなり、展開について来れなくなる可能性があります。そのため、適切な情報量を意識して制作するバランスも必要になります。

③Webtoonらしいコマ割でネームを描けているか

「Webtoonの形式への理解があるか」を確認します。webtoon形式への理解とは、以下のようなポイントです。

・コマ間の余白・コマとセリフの位置・縦長コマなど

スクロールする時の読者の視線誘導を意識して作成できているかなどを基準に、審査します。


ただ、Webtoonはまだまだ新しいジャンルです。Webtoonの制作経験があるネーム作家さんもまだ多くなく、Webtoonの文法というのがまだ定まっていないのも事実です。

「Webtoonらしさ」はノウハウのある編集者と一緒に相談しながらブラッシュアップできる部分なので、審査の際には①・②の基準を優先しています

Webtoonネームの基本についてはこちらの記事を参考にしてください!※リンク

2.線画

『妖精姫が復讐を決めたわけ』©唯緒シズサ/ SORAJIMA

①全身のバランス

線画トライアルでは、応募者が得意なポーズやアングルだけではなく、ほかのポーズやアングルも描けるかどうか、つまり人体の構造を理解しているかを確認します。

具体的には

・頭から手、足先までをバランスよく描けているか

・指定されたポーズが自然に描けているか、 

・あおりやふかんのアングルでパースが崩れていないか

をチェックします。Webtoonでは、キャラクターの頭身比がやや高めのものが一般的なので、スタイリッシュに描けることも重要なポイントとなります。

②キャラクターの魅力を引き上げる自然な表情

キャラクターの表情が自然で魅力的に描かれているかは、審査の大きなポイント。Webtoonでは、キャラクターの顔だけを画面いっぱいに描くことがあるうえ、フルカラーで制作されるため、表情は非常に重要です。

「魅力的な表情」というのは主観的で言語化が難しい部分かもしれません。「キャラクターについてもっと知りたいと思わせられるかどうか」という視点で考えてみるといいでしょう。

「このキャラクターのほかの表情も見てみたい」と感じる表情

「きっとこういう性格なんだろうな」と思わせる表情

「こういう口癖がありそう」と感じさせる表情

などを1つの基準として、自分の描いたキャラクターの表情を振り返ってみてください。

③キャラ寄せ

指定したキャラクターデザインに沿って、似せて描けているかどうかも評価要素の1つです。

頭身のバランスや顔の輪郭、髪型などからキャラ寄せの能力をチェックします。

作業量の多い作品では、同じ作品に線画担当クリエイターさんが複数名アサインされ、同時に作業を行う場合もあります。その際、担当者によってキャラクターの外見が変わってしまっては作品全体のクォリティーに影響が出るため、キャラクターデザインに沿って描ける能力は審査の対象となります。


しかし、かならずしもそっくりに描かなければ不合格というわけではありません。

審査の重要度は①・②の基準のほうが高いです。身体の構造やバランスを正確に描くことができるかを優先し、ポートフォリオも参考にしながら総合的に判断しています。

魅力的なキャラクター線画を描けていて、そのうえ作画のスタイルが作品のテイストに合っていれば、トライアル通過後、作品にアサインされる可能性は大いにあります!

④男女どちらも偏りなく描ける力

トライアルでは、性別や年齢が異なる2つのキャラクターの線画制作をお願いしています。Webtoonには主人公以外にもさまざまなキャラクターが登場するためです。

よくある不合格の例には、男女どちらかだけ上手く描けているパターンがあります。「いろいろな人物を偏りなく描ける能力」をチェックしています。

そのほかに、線の使い方も確認しています。入り抜きがあり、立体的にメリハリが出る線画になっているかという表現力も評価要素の一つになるので、ぜひ参考にしてください。

3.着彩

『妖精姫が復讐を決めたわけ』©唯緒シズサ/ SORAJIMA

①色彩センス

ソラジマの着彩トライアルでは、「色の指定がある課題」と「自由に色を選ぶ課題」の2種類を提出していただきます。

色指定の課題では、指定された色の使い方、陰影の表現方法を確認します。自由な色選びの課題では、キャラクターやシーンに相応しい色を選ぶ「センス」をチェックします。

どちらの課題でも、人物はもちろん、衣装やアクセサリーの描き込みがていねいかどうかは重要な審査ポイントです。

また、完成度の高いイラストに見せるためには、影とハイライトの塗り分けによる立体感がとても大事です。平面的な着彩は未完成に見える可能性があるので、全体の立体感に意識を向けて塗ることはポイントが高いと言えるでしょう。

「センスの良い色彩」というと抽象的かもしれませんが、大事なのは「バランス」です!

審査時にも「バランス」というキーワードは頻繁に登場します。

・補色やアナログカラースキームを適切に組み合わせているか

・キャラクターに奥行きを与える彩度や明度のバランスが取れているか

・全体的に統一感があり魅力的に見えるか

などが評価の要素となります。トライアルでは「バランス」を意識して取り組んでみてください!

②アニメ塗り

トライアルでは着彩スタイルを「アニメ塗り」に指定しています。現状のWebtoonでは、ベース色と影色をはっきりと分ける「アニメ塗り」の作品が多いためです。

しかし、審査時にはポートフォリオもチェックし、ほかの塗り方を含めた実力を確認しています。水彩塗りなど、ほかのスタイルでも実力がある方は評価の対象に十分になり得るのでご安心ください。

着彩のポジションにチャレンジする方は、ポートフォリオでさまざまなスタイルをアピールできるよう、ぜひ工夫してください。

4.背景

『冷血君主の寵愛は歌姫のために』©長尾ユキ/ SORAJIMA

①場面に応じて、ネームの指定に沿って描かれているか

背景トライアルでは、作品のTPO(時、場所、場面に応じた適切さ)に合った背景の制作能力を確認するために、作品の情報や世界観の説明を渡します。

指定されたシーンにふさわしい背景が描かれているかどうか、またシーンの雰囲気や登場人物の感情を理解する能力があるかどうかが、審査の重要なポイントとなります。

例えば、明るい森で主人公が散策するシーンに対して、魔物が出そうな薄暗い雰囲気の森の背景が描かれていると、指示を十分に確認していない、シーンの雰囲気を把握できていないという印象を与えてしまいます。

しかし、「ネームの指示にはないが、必要な小物を追加する」「ネームの指示にはないが、寒い地域の描写なので雪を積もらせる」といった、自ら論理的に作品を分析して背景を作画する場合は、高く評価されます。

背景トライアルでは、指定された場面にふさわしい背景を描くだけでなく、クリエイター自身が作品を理解し、論理的な判断を行う能力も求められるということです。

②イラストとしての美しさ

イラストとして歪みがなく、美しく表現されているかを確認します。おもな評価項目は、背景のパースが崩れていないか、人物との調和した色合いになっているか、光の表現が美しく描かれているかです。

作品の世界観をフルカラーで表現するうえで、背景は重要な要素です。殺風景な背景にならないように、イラストとしての美しさを意識する必要があります。

ただ、前述のようにシーンの雰囲気との調和も必要です。背景が非常に美しく豪華でも、キャラクターやシーンの雰囲気に合わない場合もあります。キャラクターよりも背景が目立ちすぎないような、バランスの取れた背景を描くことが重要です。

③Webtoonらしい背景

最近では、SketchUpなどのツールを使って3D素材を作成するクリエイターも増えています。

適切に3Dアセットをシーンに使用する能力や、それを作る能力はもちろん重要ですが、何よりも大切なのは作品に違和感なく馴染ませることです。背景に3Dっぽさが残っていると、読者の作品への集中を妨げる可能性があります。アセットが不自然に浮いていたり、違和感があったりしないかを確認することがとても重要です。

5.仕上げ

『政略婚皇后は復讐の毒に咲く』©雪村こはる/ SORAJIMA

より魅力的なコマに

仕上げの作業は、装飾の挿入や人物の明暗調整、背景の色や明暗の調整、コマや吹き出しの調整、そしてエフェクトの活用など、シーンを魅力的で目立つように仕上げる工程です。この工程では、各場面の魅力を引き立てる能力ストーリー全体を把握する能力が重要です。

まず、一つのコマが魅力的に見えるように処理されているかが重要なポイントです。素材や色の選択、配置のセンスも評価されます。

例えば、ロマンスファンタジーで花の装飾を考える場合、キャラクターの態度や感情に相応しい花を選ぶことが重要です。男性向けジャンルでは、バトルやアクションシーンでのエフェクトや加工がいかに迫力のある表現になっているかが大事なポイントです。

また、話全体のメリハリを考慮し、強調すべき要素や華やかさを出す部分、少しダークな雰囲気を演出する部分を把握する能力も審査基準となります。
そして、Webtoonの特徴とも言えるコマ外の繋ぎ部分の処理、つまりコマ外の余白の部分をどう彩っているかにも注目して評価しています。

『謎めく魔法使いに拾われました』©雪月 / SORAJIMA

終わりに

今回の記事では、ソラジマにおけるトライアルの評価要素や審査基準を公開しました。

ソラジマのトライアルは、実際のWebtoon作品を題材にして行われます。そのため、参加することでWebtoonの仕事のイメージがつきやすくなり、経験を積むことも可能です。

ぜひ、自分のスキルを試し、新たなチャレンジに踏み出してみてはいかがでしょうか?

みなさんからのご応募、お待ちしております!

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