クリエイター
2023.10.30
大人気Webtoonのネーム作家・白水汰一さんにインタビュー「マンガの企画の芯の部分から携われるネームの仕事をしたかった」

ソラジマで制作するWebtoon作品は、得意分野を持つ多くのクリエイターと一緒に創られています。
今回ご紹介するのは、ネーム作家の白水汰一(しろうず たいち)さん。現在「comico」で配信中の『セイサイのシナリオ』に活躍されているクリエイターです。
白水さんはソラジマが制作するWebtoon作品のネーム作家として活躍されています。「ネーム作家のお仕事を始めたきっかけ」や「ネーム作家に向いている人」についてお話を伺いました。
目次
「背景アシスタント」だけではなく「マンガの企画」に携わりたい
まず初めに、担当作品を交えた自己紹介をお願いいたします。
comicoで連載中の『セイサイのシナリオ』のネームを担当している、白水汰一(しろうず たいち)と申します。

実は今回の作品が初連載で、原作の岩島朋未先生や編集担当の芝さんにお世話になりながらお仕事させていただいています。ありがとうございます!
ありがとうございます。ソラジマのネーム作家としてはいつから活動されていらっしゃいますか
ネーム作家としては2021年の11月から参加しています。実は、その前の8月から背景作画としてもお世話になっています。
ネーム作家に応募したきっかけがあればお伺いできますか?
もともとは背景アシスタントをしていました。もっと漫画の仕事を増やしたいなと思っていたところ、Twitterのダイレクトメッセージに編集の芝さんからコンペのお誘いメッセージをいただいたんです。
漫画の背景だけではなく、企画の中心に関わるような仕事をしてみたいと思っていたこともあり、自分の力試しにと応募したのがきっかけでした。
背景アシスタント以外にもほかの活動をされていたのですか。
鹿児島に住んでおり、地方の広告イラストや広告漫画、イラスト中心の活動をしています。
もともと漫画家になりたかったということもあり、知り合いの漫画家の先生からアシスタントを誘われたのがきっかけでこの仕事に携わるようになりました。
漫画からイラスト、ネーム作家とジャンルを広げて
背景アシスタントや広告漫画は横読みだと思いますが、Webtoon(縦読み漫画)の存在は知っていましたか?
そうですね。
最初に縦スクロールの漫画を見た当時は学生で、無料の投稿サイト、「マンガボックスインディーズ」に投稿していました。
今のお仕事になっている、イラストはいつから描き始めたのですか?
7年前くらいです。
もともと絵を書くのが好きだったので、物心ついたときから絵を描いていました。
デジタルではじめてイラストを描いたのは20代前半のころ。しばらくデジタルで漫画を描いたあとにイラストも描いてみようと思いました。
ありがとうございます。ネーム作家は、専業で業務されていらっしゃいますか?
フリーランスで仕事をしています。
そのなかで、ネーム作家の仕事はかなり大きなボリュームを占めています。それ以外にも、先ほどお話したような、地元のイラストの仕事や、YouTube漫画の作家などを手がけています。
ソラジマの実技選考はどのようなものでしたか?
「ライトノベルを数章読んだうえで、Webtoonの冒頭部分のネームを描いてください」という実技試験でした。
実技試験のボリューム・難易度はいかがでしたか?
ネームやプロットを文章からマンガにするための面白さをしっかり抜き出して形にすることは、力試しになりました。
自分の演出のクセや実力が分かるのも面白いと思いながら取り組みましたね。
ネーム構成は講座から、コマ割りはWebtoon作品やアニメから学ぶ
普段の勉強法や知見が広がったという話があれば、参考として聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
Webtoonであっても、マンガ演出の基本については従来のマンガと共通している部分が多いと思っています。
「東京ネームタンク」という、ネームの勉強ができるところで講座を受けており、ネームづくりの基本はそこで学んだ部分が大きいんじゃないかなと思っています。
また、いろんなWebtoon作品を読むようにしています。
「このコマ割りいいな、使えそうだな」と思うものはスクリーンショットを撮って保存しています。とくにコマの割り方や構図は縦スクロールならでは部分が多く、Webtoon作品から学ぶところが多いですね。
ネームの構成などは講座から、コマ割りなどはWebtoonから学ぶのが多いというところですか?
そうですね。
あとは間を演出などは映像作品にも近いところがあると思っていて、アニメの影響も受けていると思います。
参考までに、好きなWebtoon作品とかアニメ作品は何ですか?
現在担当している作品と同じジャンルということもあり、comicoさんの『インモラルに復讐を』にハマっていますね。
語尾やコマ割りなどを意識している部分もあります。ソラジマさんだと『逆行令嬢の復讐計画』もキャラクターの表情がすごくいいなと思っています。
アニメもいろいろ見ていますが、『セイサイのシナリオ』の表現は『ジョジョの奇妙な冒険』の影響も受けていますね。
スケジュールを調整しながら、趣味のアクアリウムも楽しむ
次に、1日のお仕事スタイルを教えてください。
朝起きるのは遅めです。
夜中の2時とか3時まで作業して、11時くらいに起きるといったところです。
ネームやプロットの読み込み作業を前半にやって、夕方から夜にかけて作画や写植作業を行うなど、ざっくりと分けてスケジュールを区切っています。
発注から納品までどれくらいで提出していますか?
だいたい一度に連続2話分の発注を受けて、4~5日くらいで提出します。
それからフィードバックをいただいて、修正を1~2日くらいで提出させていただいて、おおむね1週間で2話というイメージですね。
お休みはどのように設定していますか?
予定があるときは休みをとるようにしています。
そのほかは、「この日に休みをとる」と決めるより「作業が巻きで終わったから残りの時間を休みにしよう」ということが多いですね。
どうしてもやる気がなかなか出ない、飽きちゃったというときは、スケジュールの余裕を見て、思い切って1日休みをとってしまうこともあります。
お休みの時はどのように過ごしていますか?
アニメを見たり、ゲームをしたり…休憩がてら料理することもありますね。
趣味でアクアリウムをやっているので、水槽のメンテナンスとか、飼育する魚を川に捕りに行くことも(笑)

捕まえて、飼育されているんですか!?
はい。淡水魚がすごい好きなので。ゴールデンウィーク中も1回行きました(笑)
…すごい(笑)
効率良く進めるコツは「ツールの使い方」
2021年11月からネーム作家として活動されていますが、お仕事には慣れましたか?
そうですね。流れはつかんできて、だいぶ慣れてきました。もっと効率化したいところや腕を上げたいなと思うところもあります。
効率化の話がでたので、ここは時間がかかる、ここは短縮できそうというポイントはありますか?
これまでは、台詞の部分を打ち込む作業に時間がかかっていました。
プロットに直接絵を描き込んで、パソコン・液晶タブレットで修正していきます。
コマを描いて、台詞とかやっていたんですけれど、「CLIP STUDIO PAINT」のシステムで全部文字を打てる機能がありまして。
「ストーリーエディター機能」ですよね!
そうですね。これまではページ配分が分からない状態で使って良いのかと思っていたんですけれど、なんとかなるもので、初めからやっておけば良かったです。
「CLIP STUDIO PAINT」はWebtoon用の機能が揃っています。はじめのころはコマの間隔などのフィードバックが多かったのですが、Webtoon用の表示機能を使うことで戻しも減って、効率化をはかれるようになったと思います。
編集のフォローアップの体制はどうですか?
背景で参加したときから思っていたんですけれど、編集さん一人ひとりが作品づくりに対してまっすぐな人ばかりだなというのが正直な感想です。
作家さんがそれぞれのパートに集中できるので、モチベーションを高く持ちながら仕事ができる体制になっていると思います。また、担当さんに恵まれているともと思っています!
ありがとうございます。編集者の芝にも伝えておきます(笑)
キャラクターの感情や表情をみせたい
今担当されている『セイサイのシナリオ』で好きなキャラクターは?
主人公サイドのキャラクターから悪役まで、それぞれ見所があって好きなんですけれど、とくに好きなのが牧田くんですね。
主人公を助けてくれるポジションのキャラクターが好きで。
とくに序盤、主人公がとことんやられまくっている展開が続くなかで、「よし、やったれ!」みたいな感じで、応援したくなるというか。
普段は、どちらかというと女性キャラをかわいく描くほうが好きなんですけれど、イケメンに描きたくなりますね。
女性キャラを助けてくれるポジションで、というところがありそうですよね。
そうですね。悪役がみんなクズなので(笑)
ネーム作家をしていて、楽しいと感じる作業はありますか?
僕はキャラクターの表情が大事と思っています。キャラクターの感情を出す、表情を出す作業を一番楽しみにやっていますね。
『セイサイのシナリオ』は印象的な表情も多く、「そんな表情をするんだ!すごいな!」と思って読んでいました。工夫をされていた結果ですね。

ありがとうございます。読者からは賛否両論が多そうだなとも思っています(笑)
サスペンスなので、イケメン設定の良平でも、本性が見えたときは人相が変わるくらい表情が変わるんじゃないかなと思いました。
これは漫画『ハッピーピープル』の影響を受けているんじゃないかなと思いますね。
ソラジマは、「得意」を活かして仕事ができる場所
ソラジマで今後叶えたいお仕事の目標などありますか?
はじめての連載作品を担当したので、最後までしっかり連載をネーム担当としてやりきることが今の目標です。
また、ネーム作家は、文章状態の作品がマンガになる、企画の核の部分になると思います。同時に複数の作品を持つなど、頼りにしてもらえるように成長したいなと思っていますね。
ありがとうございます!ネーム作家はどんな方におすすめできるポジションだと思いますか?
絵が好きというだけではなくて、マンガという表現にこだわりがある人には向いているんじゃないかなと思いますね!
「絵も好きだけれども、絵だけではなくて、マンガにこだわりたい人」ですね。
最後に、白水さんにとってのソラジマってどんな存在でしょうか。
作品を世に出すことに対して、自分の得意なところを活かして活躍できる場所なんじゃないかなと思います。
ありがとうございました!
白水汰一
鹿児島で魚と暮らしながらネームを描いている白水汰一(しろうずたいち)です!よろしくお願いします。
HP:https://t-shirouz-artistpage.amebaownd.com/
インタビュアー:さえき
執筆:藤子さとり 編集/ライター/webライター
BtoB事業、マスコミ勤務の経験を活かし、イベントレポートやインタビュー記事を通して、軸や本質を掘り下げ言語化するお手伝いをしています。気持ちのリフレッシュにマンガやアニメなどを見るのが好き。
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