クリエイター
2024.08.21
【祝★書籍化】『かたわれ令嬢が男装する理由』の線画担当・MONAさんに聞く!少年誌漫画家がWebtoonにフィールドを変えた理由
はじめに
こんにちは!Webtoonスタジオのソラジマ広報チームです。
2024年5月、ソラジマ発のWebtoonで、LINEマンガ2022年間ランキングでもランクインを果たした『かたわれ令嬢が男装する理由』が書籍化されました!
今回は、本作品で線画を担当するMONAさんにインタビュー。
Webtoonにおける線画担当者は、脚本家、ネーム担当者が構成したストーリーやキャラクターに命を吹き込む要のような存在です。
MONAさんは線画担当作品の書籍化についてどう感じたのでしょうか?
これまでのクリエイター人生がどのようなものだったのか、などもあわせてお聞きしました。
【この記事はこんな人におすすめ!】 ・Webtoonの作品がどんなクロスメディアの可能性を持っているのか知りたい ・どんな経歴を持った人がソラジマのクリエイターになっているのか知りたい ・自分の技術に自信はあるけれど、仕事としてやっていくことに不安を感じる |
目次
キャリアスタートは14歳!Webtoonで描くようになったきっかけ
——MONAさんの、絵を描くことや漫画に関するキャリアを教えてください。
MONAさん(以下、MONA):絵を描くことは小さい頃からずっと好きでした。同じく漫画もずっと好きでしたが、初めて本気で踏み出したのは中学生の頃になります。
14歳の夏休みに漫画を描いて、『某少女漫画誌』に持ち込みをし、その作品が賞を獲って担当編集者さんについていただいたのが漫画に関するキャリアの最初でした。
当時はもちろん嬉しさもあったのですが、いざ現場の大人の人とのやり取りが始まると子どもながらに「この先どうなっていくんだろう…」とだんだん環境の変化に怖くなってしまい……。
両親や担当編集者さんとたくさん話し合い、悩んだ結果「やはり今は高校に進学したり部活を頑張ったほうがいいのかも」と感じ、漫画を描くことはそのとき一度やめてしまったんです。
そこからもう一度、今のように漫画の仕事をしようと考えたのはいつだったのでしょうか?
MONA:社会人になり、結婚してからになります。
夫も漫画が好きなのですが、夫から『某大人気少年漫画』をすすめられたのがきっかけでした。
この漫画を読んでまた「漫画って面白い!楽しい!」という感情が湧き起こって「何か描いてみたい」というスイッチが入り、好きな漫画やアニメのファンアートを描いてXにアップするようになったんです。
するとX上で編集者さんや企業からお声がけをいただく機会があり、その時はただ楽しい趣味としてしか考えていなかった自分の絵が「今からでも仕事にできるのかも?」と改めて考えるようになりました。
それで今度は『某少年週刊誌』に挑戦し、幸い担当編集者さんもついたのですが、そこで気になったのが、自分の年齢と体力でした。
少年週刊誌は十代後半〜二十代前半あたりで漫画家としてのキャリアをスタートする方が多いのですが、私はその時すでにアラサーでした。年齢制限は無いとはいうものの、漫画家という仕事のハードさを考えると若いうちからキャリアを積む事は、ある意味 理にかなっているのだと感じました。実際にこの歳から漫画を学び直して、一人で作品を創り上げるのは想像以上のキツさでした。さらにその同時期、実家の母が脳梗塞と癌を患い、実家に戻らなければならない状況が続いたことも重なり「この年齢からたった一人で漫画を描く仕事をするのは難しいのかもしれない」と感じて、雑誌で週刊連載を目指すのは再び諦めてしまったんですよね。
雑誌での仕事を諦めたあと、ソラジマにたどり着いたのはどのような経緯があったのでしょうか?
MONA:やはり一回「やるぞ!」と本気でスイッチが入った気持ちはそう簡単には消えなくて……。
母が無事回復したあと、今の生活スタイルの中で、絵や漫画で何かできることがないかなと方法を探していたときに「分業制で漫画が描ける」というソラジマの求人を目にしました。この方法なら今の自分にピッタリなのでは!?とクリエイター登録したのがソラジマで線画担当として仕事をすることになったきっかけですね。
年齢関係なくできる仕事という観点でみても、Webtoon制作は最適な分野だと思いますね。実際にやってみてそう感じます。
実際に、ソラジマで線画として働き始めたときの周囲の反応はどうでしたか?
MONA:もともと漫画好きだった夫は、『かたわれ令嬢が男装する理由』がLINEマンガに掲載されたときも感激してくれていましたし、毎週0時の更新時間ぴったりに読み始めるほどに、この作品のファンになってくれています。
母は「子どもの頃からの夢が叶ってよかった!」と喜んでくれていますし、私がWebtoonの仕事をやり始めたことをきっかけに、今では父もロマンスファンタジーを読んでいます(笑)
また、姉の旦那さんが美容師をやっているのですが、お客さんとの会話の中で漫画の話になると『かたわれ令嬢が男装する理由』をすすめてくれているらしいのですが、中にはすでに読んでいる人もいるようで、そういう話を聞くとすごい作品の線画を担当しているんだなと実感します。
雑誌の漫画とWebtoon、どこが違う!?
MONAさんは月刊誌や週刊誌の編集者と関わった経験もありますが、Webtoonの編集者と関わってみての感想を教えてください。
MONA:あくまで私が関わる『かたわれ令嬢が男装する理由』の編集者さんについてになりますが、とてもフランクで話しやすいと感じましたね。
ちょっとした提案や相談もしやすいですし、こちらにイメージを伝える際の参考画像や言葉選びも具体的でわかりやすくて、お仕事がしやすいです。
私は不安症ですぐ気持ちが後ろ向きになってしまうタイプなのですが、明るく励ましていただくこともたくさんありました。自分と正反対の明るい性格の編集者さんと組めたことで、支えてもらえただけではなく、引っ張り上げてもらったという感覚があります。
雑誌系の編集者さんは、人にもよりますが作家に成功パターンを“学ばせる”という意識が強かったように思います。即戦力が求められる私の年齢を考慮して、成功への近道やテクニカルな指導をしていただくことが多かったです。とても勉強になりましたね。
私の中ではソラジマの編集者さんは「戦友」、雑誌系の編集者さんは「指導者」、そんなイメージがあります。
働き方などについては、以前の雑誌での連載を目指していたときとはどのような違いがありますか?
MONA:私は雑誌で連載を持っていたわけではないのですが、一人でストーリー・ネーム・作画の全ての工程を行っていたそのときよりは、余裕を持って仕事をできている実感があります。
ただ、線画という一つの専念すべきポジションが出来たことで、結局そこに力を入れすぎてしまって今でも時間を使いすぎているという自覚はありますね。
雑誌の横読み漫画とWebtoonでは、描き方にどのような違いがあるのでしょうか?
MONA:まず、線ですね。
モノクロ漫画だと、線を何重にも重ねたりガサっとした感じやインクの溜まったような質感を出すとカッコよく見えるのですが、Webtoonのように後から色が乗る漫画だと、画面の情報量が増える分、その線や溜まりが汚らしく見えてしまう事があるんです。なので、モノクロ漫画の時よりもなめらかで綺麗な線を引くことをかなり意識しています。
もう一つが、自分ではない人が作った原作を絵にする、という点ですね。
「原作者の思い」を私がしっかり理解できていないと、キャラクターに命を吹き込むことはできないと思っています。
脚本を読み漁ったり、たくさん質問を重ねて、原作者・編集者・私のそれぞれの頭の中にあるキャラクターのイメージを擦り合わせることに時間を使いましたね。
Webtoonにおいては、原作者の思いをしっかり受け止めつつ、線画の自分が100%の自信を持ってキャラクターを動かしていけるようなイメージを固めるための土台作りをすることが、非常に大切だと感じました。
キャラクターを“魅せる”線画&キャラデザの原点とは
ソラジマではキャラクターデザイン担当と線画担当が別々なことが多いですが、MONAさんは『かたわれ令嬢が男装する理由』では両方を担当されていますよね。
MONA:そうですね。キャラクターデザインも担当させていただいたからこそ、キャラクターの内面を深く追求できて、原稿内でのキャラのちょっとした動作や表情の振り幅にも「キャラクターらしさ」を詰めることができたかなと感じています。
他の方がデザインしたキャラクターだと、私の性格上、原稿で自分が肉付けする情報が正しいのかどうかが常に気になってしまうと思うので、迷いなく自信を持って描ける状況が有難かったです。
また、キャラクターデザインから携われたことでキャラクターの言動に違和感があったときなどの調整提案の相談もしやすかったです。
私がイメージで落とし込んだキャラクターのデザインがきっかけになって、更なる設定があとから落とし込まれたこともあって、嬉しかったですね。この経験は、キャラクターデザインから携わったからこそだと思います。
『かたわれ令嬢が男装する理由』には、そんな隠れた制作エピソードがあったのですね!
MONA:キャラクターの誰かに、ファーのようなモフモフっとしたアイテムを描くとビジュアル的に映えるのではないかなと漠然と考えていたんです。
そんなときに資料のシートを読み込んでいたら、カイルという登場人物のところに「二匹の犬を飼っている」という設定が書かれていて……。そこから着想を得て、カイルをそのモフモフをまとわせるデザインにしたんです。そこになんとなく「このモフモフがオオカミに変身したら楽しいかも?」というようなメモ書きを残しておいたら、それを実際にカイルの設定として活かしていただきました。
そこまでキャラクターを膨らませることができるのは、やはり雑誌でストーリー作りから行っていた経験のおかげなのですかね。
MONA:もちろんそれもあるのかなと思うのですが、私の中で大きく寄与していると感じるのが、中高時代の部活になります。
演劇部だったのですが、自分が演じる役について、「役作りレポート」というものを必ず提出する決まりがありました。台本上にない生い立ちやエピソードを考えたり、これこれこういう風に育ったキャラクターだから、この場面でこのようなセリフが飛び出すのだ、など細かく考察するんです。
部活でのその経験が、自分の中で「キャラクターを深く考える」「キャラクターがより面白くなるものを肉付けする」という習慣が身についた原点になっている気がします。
待望の書籍化!しかし一番感激したのは…
今回、『かたわれ令嬢が男装する理由』が書籍化されましたが、書籍化の話を聞いたときはどう思いましたか?
MONA:「すごい!」の一言でしたね。
Webtoonの仕事を始めるときにWeb漫画について調べたところ、雑誌系の漫画と違ってWeb系漫画が書籍化するのはほんの一握りだということを知りました。そのこともあって、「書籍化されるんだ!」とただただ驚くばかりでした。正直話を聞いた時は実感はなく、嬉しいという感想に変わったのは、周囲の反応を見たときでした。
周囲の方々はどのような反応でしたか?
MONA:家族や親戚の方が書籍を購入してくれて、「サイン書いて!」と言いにきてくれました。ページをめくってサインを書き入れる瞬間、書籍化してたくさんの人たちの手に渡ったんだと初めて実感が湧いてきて嬉しかったですね。
かたわれファンの夫は相変わらずの大喜びで「今どんな気持ち!?」と何度も聞いてきて嬉しそうでした。また、Xで読者さんが「かたわれ令嬢買った!」と喜んでくれているポストを見かけるたびにとても幸せな気持ちになりました。書籍が本屋さんに陳列されている様子を目の当たりにすると感動しますね。
やはり、自分が線画を担当した作品の書籍化は、感激もひとしおですよね。
MONA:そうですね。書籍化ももちろんすごく嬉しかったですが、私が制作期間中で一番感激した瞬間はやはり、『かたわれ令嬢が男装する理由』が世の中に配信された瞬間でした。配信までの準備期間が約7ヶ月と長かったので、コツコツひっそりと温めていたものが一気に自分が知らない人たちの目に触れる場所に出ていったときに、ほんの少しの恐怖も感じつつ、それでもやっぱり大きな感動がありました。
LINEマンガのランキングで、自分がよく読んでいる有名な作品にかたわれ令嬢が挟まれてランクインしているときなどはついついスクショしてしまいます(笑)
自分の絵が有名作品と並んでいるのを見ると、「なんだこれは!」という感覚になります。
LINEマンガはコメント機能もあるので、「絵が可愛い」というコメントをいただいたりするのも、大きなモチベーションになっています。読者の方々がコメントに乗せて送ってくれる熱量に、いつも励まされていますね。
「セルフ下積み」の前にやってほしいこと
MONAさんが、今後挑戦したいことや、やってみたい作品はありますか?
MONA:Webtoonで現在担当しているポジション以外で今後挑戦してみたいところでいうと、ネームですかね。
作品でいうと、私はロマンスファンタジーが合っていると感じたので、引き続きロマンスファンタジーの作品がやりたいなと思っています。そしてやはり、キャラクターが照れている表情を描くのが好きなので、恋愛系がいいですね!
世界観でいうとこれまでと少し違う、東洋系のロマンスファンタジーを描いてみたいという気持ちもありますね。和と中華が融合したようなイメージです。ロマンスファンタジーは西洋的な世界観が多いのですが、個人的に少しオリエンタルな雰囲気の作品や絵が好きなので。
そしてもちろん、新しい作品をやる際にもキャラクターデザインから担当したいです!
最後に、Webtoonのクリエイターをやってみたい!という方に向けてメッセージをお願いします。
MONA:まずはやってみて欲しい!という一言に尽きます。
少し大きなことに一歩踏み出そうとするときって、どうしても「もっと画力が上がってからにしよう」とか「もう少し技術を磨いてから」「もうちょっと市場調査してから」と、“自分で勝手に定めた下積み”を優先してしまいがちだと思います。その慎重さもとても大事ですし、下積みをしてからでないと不安という気持ちもとてもわかります。でもまずは思い切って行動してみることが1番大事!と私はこの数年の経験を経て感じています。
「まずやろう!動こう!」という気持ちで踏み出してみたおかげで、いま好きなことで仕事ができる場所にたどり着けたので。
特に、私のように「漫画の仕事はしたいけれど、一人ですべてをやるのは難しい」と感じている人にこそ挑戦してほしいです。Webtoonには、分業制がゆえに夢を叶えやすい部分もあると思います。
おわりに
ただWebtoonとして作品を出すだけではなく、書籍化やドラマ化など、自分の手がけた作品がメディアを横断して世に出ていく。
ソラジマは、「webtoon作品を出すこと」ではなく、「今世紀を代表するコンテンツを創ること」を目指しています。
そんな私たちと、共に特大ヒットを出しませんか?
「まだ実力が足りないかもしれない」
「自分がやっていける環境か不安」
そんな気持ちから、なかなかクリエイターとしての道に一歩踏み出すことができないという人は多いはず。
ソラジマは、そんなあなたを応援します。クリエイターさん一人一人に向き合い、創作に全力でコミットできる環境を約束します。
ぜひ私たちと一緒に、あなたの才能を最大限に発揮させてみませんか?