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第四編集部

2026.05.28

大手漫画出版社を経て、ソラジマで新レーベル立ち上げに挑む理由

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第四編集部編集長:藁谷さんへインタビューをしました。

こんにちは! ソラジマの広報担当です。ソラジマは、「今世紀を代表するコンテンツを創る。」をミッションに掲げる漫画出版社です。

今回は、大手漫画出版社で約5年間にわたり、合計30作品以上の編集を手がけてきた藁谷さんにインタビューしました。
安定したキャリアを築いてきた藁谷さんが、なぜSORAJIMAで新たな漫画レーベル「よすみ」の立ち上げに挑戦することを決意したのか。その決断の背景や、SORAJIMAで実現したい未来について迫ります。

写真は、本屋B&Bにて開催された漫画レーベル「よすみ」初の書籍『別冊よすみ 第一集』の発売記念イベントの様子。マンガ研究家のトミヤマユキコさんとの対談と、俳優・端栞里さんによる漫画朗読が行われました。


編集者を形づくったエンタメルーツは宝塚だった?

── 本日はよろしくお願いします!まずは、藁谷さんの編集者としてのルーツを教えてください。

藁谷:今思うと変わっている子ども時代だったなと思うのですが、当時観ていたのは、モノクロ時代の「鉄腕アトム」でしたね….!

もちろん、みんなが観ていた「アンパンマン」などの王道アニメも観ていましたが、今でも記憶にあるのはブラウン管でじっと見つめていた白黒の鉄腕アトムの映像です。

あとは「トムとジェリー」や「パワーパフガールズ」などのアメリカのトゥーンもめちゃくちゃ好きで観てました。これらは今でも好きでよく見ています…(笑)

あと、大学時代は、母親の影響で宝塚歌劇団が大好きでした。
宝塚には、伝統によって構築されたシステムがあって、それに則した美の方式があるんですよね…! それに惹かれました。

「男」でも「女」でもなく、「男役」という全く違う性の存在を宝塚というシステムの中で、どう際立たせていくかということを演出とスターがそれぞれの方向から考えていくのが非常に面白かったんですよね!

宝塚を楽しんできた経験は、今振り返ると、社会人になって少女漫画の編集をするうえで、さまざまな場面で役立っていたと感じます。まさにそこが自分にとっての「編集者としてのルーツ」だったのではないかと思ってます。

【藁谷周太郎(わらや しゅうたろう)】

編集者としての哲学「わかりづらさを読みやすく」とは何か?

── 凄い変わった幼少期ですね(笑)。新卒で大手漫画会社に入社されたとのことですが、どんなお仕事をしていましたか?

藁谷:新卒では、自分の好きなジャンルでもある少女漫画の編集ができる点に魅力を感じ、大手漫画出版社に入社しました。当時の仕事は、雑誌編集から、漫画賞の運営、コミックス刊行業務、雑誌/アプリ/電子増刊の連載立ち上げまで、本当にたくさんの仕事に関わらせてもらっていました!

携わった担当作はのべ13本、また新連載⽴ち上げは6本担当し、さらに担当掲載読切本数は30本を超え、コミカライズも5本を担当し、本当に刺激的な時間を過ごすことができました…!

──そうだったのですね。約5年間、漫画出版社で働かれる中で、特に印象に残っている出来事はありますか?

藁谷:振り返ると、特に3年目が一番楽しかったのを覚えています。その当時は1ヶ月で、連載10本、コミックス4冊の刊行などを担当し、楽しくも激務な日々を送っていました(笑)
そこで、作家さんとの向き合い方、編集者としての立ち位置、作品の磨き方等、全ての経験が血肉となりました。

その経験を下地にしながら自分のレーベルを持つことで見出したのは、「作家さんが描いてしまう思考や感性のわかりづらさや受け入れ難さを、読みやすくする」という編集持論でした。今は、どこでも誰でも、何かを発信できる時代です。

だからこそ、「”これを描きたい/描くべき”という切実さを持った作品」ほど、読者の方に受けられていくように感じています。

ただ、漫画というメディアは、小説や映画、演劇などに比べても、実直なエンタメ性を要求される場面が多く、作家さんの言いたいことや描きたいことがそのまま出力されると、そうした読者からのエンタメの要求に応えられず、残念ながら読んでもらえないケースがたくさんあると感じております…!

もちろん、漫画以外のメディアもその「エンタメにするという引力」は強いと思いますが、漫画とエンタメの結びつきはかなり強固です。作家さんが描きたい/描くべき漫画と、多くの人に読まれる漫画を接続させるのが編集の仕事と考えています。

その過程で、作家さんの持つ「これを描きたい!」という切実さを抑圧したり、逆にその切実さに頼り切り、一切の口出しをしなかったりすることはしたくないですね。

編集者として僕がやりたいことは、わかりづらいことや伝わりづらいことを、読みやすくすること。作家さんたちが日々考えていることや感じていることを、単にわかりやすく加工して伝えるのではなく、あえて読者にとってわかりづらいままの形で提示しつつ、それでも読みやすくすることで、最後まで読み通してもらう。

その結果、面白いだけじゃない、他にも違う感覚がプラスされるのではないかと思ってます。読者の方が、読んだ後にじわじわと、違う感情が湧いてくるような、そんな漫画を作家さんと共に、届けていきたいですね。

「もっとできるはずなのに。」特定ジャンルにこだわらず、編集者としての幅を広げたかった

── 充実していたのに、転職を考え始めたのはなぜですか?

藁谷:色々と任せてもらう中で、もちろんやりがいはありました。でも、5年間がむしゃらに仕事している中で、少しずつ自分の中で引っかかる感覚が生まれるようになりました。

もともと僕は、青年誌に載っているようなサブカルチャー色の強い作品や、少し尖った表現のある漫画に惹かれてきたタイプです。だから、少女向けという枠にとどまらず、ジャンルや表現の幅をもっと広げた編集に挑戦したい、という思いが、年を重ねるごとに強くなっていったんです。

また、ひとり出版社などの小規模出版や、個人で営む独立書店などの、小さい出版の形にも興味が出てきて、編集だけではなく、販売にも興味を持ち始めていました。
もともと「常に新しいことをやりたい」「前代未聞の漫画をつくってやろう」みたいな考えが染み付いている自分にとって、編集も販売も既定路線に乗り続けることに違和感と焦燥感を感じていきました。

縦読み漫画=ビジネス色が強いと思っていたが、ソラジマの編集者の漫画愛がすごかった…

── そんなとき、ソラジマからオファーが届いたんですね。

藁谷:はい。転職を検討していたタイミングで、ソラジマからオファーレターが届いたんです。

「ソラジマは、これから単にWebtoon市場に収まる存在ではなく、今世紀を代表する作品を生み出すフェーズに入る。」 という内容でした。

いただいたオファー中でも、縦読みの読切作品を作ることで、読切作品を作る文化ができ、読切作品を描く作家や編集者を育てる文化ができる。そして結果として素晴らしい読切作品が日本から創出できるという考えを聞いた時には、痺れましたね…!

僕はWebtoonに対して、もともと「作家本人の個性を引き出すというよりも、マーケットの動向にがっつり合わせにいくスタジオ的なコンテンツ」という印象を持っていたんです。でも、ソラジマはそれと逆の戦略を取りに行こうとしていた。その点に「スタートアップらしくない、めちゃくちゃ面白い会社だな」と感じて、話を聞きにいくことにしました。

── そうだったのですね!スタートアップらしくないとはどういうことですか?

藁谷:漫画オタクがたくさんいる雰囲気を感じたんです! やっぱりスタートアップはビジネス色が強いイメージで、当時は失礼ながら、Webtoonスタジオに対しては、漫画のライトユーザーが新しいビジネスに飛びついているという良くないイメージを少なからず持っていました。ただ、ソラジマは全然違いました。

編集者たちの自分の作品の愛がとても強くて、そして全員が縦も横も関係なく漫画を愛していて、たくさん読んでいる。売上や制作費など定量的に作品を判断する力と、定性的に作品をディレクションする力。
そしてスタートアップならではの大きな夢を追う覚悟。ソラジマの編集者は全員がこの3つを兼ね揃えているので、圧倒されました。

── 実際に働き始めて、他にも驚いたことはありますか?

藁谷:他にも、フィードバック文化を含む、社内カルチャーを体現しきる会社という点にも、魅力を感じました。ソラジマは、「こういうカルチャーを作りたい」といった理想を掲げるだけじゃなくて、本気で実現しようと動くんです。しかもそれが、日々の仕事の中にちゃんと落ちている。

たとえば、勉強会。以前は正直なところ、目の前の業務を回すだけで精一杯で、「学ぶ時間をつくる」という発想自体がどこか後回しになっていました。でもソラジマでは、編集者同士が当たり前のように集まって、作品について本気で議論する。

「この構造、もっと面白くならないか」「ここ、まだ攻められるよね」と、新しい表現を探り続ける時間がちゃんと用意されています。この空気感が編集者として、まだ伸びる余地があると思わせてくれるんです!

採用面接中に新レーベル立ち上げが決まった「よすみ」。

── 面接中に編集部が決まったと聞きましたが、本当ですか?

藁谷:はい(笑)。面接時に「自分はWebtoonではなく、サブカル漫画がつくりたくて転職を考えた」ということをCEOの前田さんに正直に打ち明けたんですよね。そうしたら「じゃあソラジマでつくればいいじゃん!編集部立てちゃおう」と言われて(笑)

正直、え?って思いました。面接中ですよ? まだ入社も決まってないのに「やろう」って。いきなり新しい編集部をつくるなんて、普通は無理ですから。

流石に嘘だろうと思っていたんですが、実際に入社を決めるまで、ソラジマのメンバーや代表たちとのコミュニケーション機会をいくつかいただいて。

そこでいろいろ話すうちに、あ、この会社、本気で僕に編集部を作らすつもりだ、と気づいた時には、僕も本気で編集部を作りたいと思っていたし、何よりこの人たちと一緒に仕事をしたいと思ったんです!

編集部の立ち上げ時はもちろんプレッシャーもありました。でもそれ以上に、「自分で"場所"をつくれている」という実感が強く、自然とワクワクしていたんです。

よすみ編集部が、あえて紙の出版にこだわっているのも、その延長線上にあります。ビジネスもエンタメも、突き詰めると結局は“人”。デジタルデバイスを通して作品を届けるエンタメも素晴らしいですが、同時に、「ここに来れば、こういう作品と人がいる」と言える“場”を持つこと自体に、大きな価値があると感じています。

──立ち上げられた編集部「よすみ」という名前には、どんな意味が込められているんですか?

藁谷:よすみに込めた意味や思想は、よすみのサイトと『別冊よすみ 第一集』の表4に書いているので、ぜひ読んでいただきたいです。

一言で言うとするなら、よすみという名前には「漫画と日々のことをもっと考えたい」という願いと、「メインストリームじゃないところに居続けよう」という意思を込めました。

▼よすみの詳細について : https://yosumi.jp/

── 立ち上げからまだ、半年ほどだと思いますが、現時点での手応えはいかがですか?

藁谷:漫画界の隅っこでひっそりと始まったのですが、半年でWebサイトにはのべ10万人ほどの読者が遊びにいらっしゃいました。少しずつ、確実にファンが増えている実感はありますが、特にそれを感じるのは漫画の描き手からの熱いラブコールがどんどん増えてきているところですね。

漫画を持ち込む作家さんもありがたいことにすごく増えてきて、作品やWebサイトの感想を長文で送ってくださったり、クリエイターからの評判が高いところがとても嬉しいです。

また、よすみの掲載作は読者数や読了率など各種数字も独自に採っているんのですが、中でも読了率が全作品75%以上で、平均でも85%、高いものだと95%近くのものもあります。「わかりづらいを読みやすく。」という編集モットーが体現できている感覚が数字にも出てきていて、大変励みになります。

他にも、ソラジマの自社流通の初書籍である『別冊よすみ 第一集』は、全国の約100書店近くで取り扱われており、さらに取扱書店はじわじわと増えつつあります。

自動配本はしておらず、自社での販売営業と取次の新刊案内のみで広げている中、初めての出版でここまで多くの書店に置かれたのは、いいスタートダッシュだと思います。

また書店との直取引も選択肢に入れた出版流通、よすみに縁のある劇団の公演での書籍販売や、ミニシアターでのポップアップストアなども展開しており、狭く、濃く、そして確実に、来たるべき未来の読者に届くような、地道だけど原点的な販売活動を行っています。

── 最後に、どんな人にソラジマに来てほしいですか?

藁谷:今の漫画出版の枠からはみ出たい編集者に来てほしいですね。
あるいは、たくさんのアイディアに溢れていて既存の枠に収まらない人。
前例がないことを恐れない。自分で考えて、自分でつくる。そういう人が、ソラジマでは活躍できるんです。

編集者として、どこで"戦う"か。その選択が、あなたの編集人生を変えるかもしれません。僕は、ソラジマという"場所"を選びました。ここでなら、自分が本当にやりたい出版ができる。そう信じて、毎日作品と向き合っています。

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